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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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熟語で100のお題
05 片手


 我が物顔で街を歩いていた野良悪魔を倒し、大地はほっとした。悪魔は、放っておくと無差別に建物を壊し、人に危害を加える。放っておくと甚大な被害を招きかねない。今日だっていつセプテントリオンが来襲するか判断がつかないことを思うと、目先の不安は取り除いておくに限る。
 大地は召喚アプリを起動させていた携帯電話を、制服のポケットにしまった。そして周囲を見回し、共に戦っていた仲間の無事を確かめる。
「おい、ジュンゴ! もう悪魔はいなくなったんだから下ろせよ!」
 わめき散らす声に、大地はぎょっとした。
 優輝が、純吾の肩に抱きかかえられていた。片手で軽々と荷物を抱えるように。もちろん優輝が大人しくしているわけがなく、手足をばたばたさせている。だが純吾は物ともせず「暴れちゃダメ」と優輝をたしなめた。
「おいおい、どうしたってんだよ」
 大地は慌てて二人の元へ駆け寄った。
「ダイチ! 助けてくれよ。ジュンゴが下ろしてくれないんだ」
 すぐさま優輝に助けを求められ、大地は困り顔で純吾を見やった。
「ジュンゴ……。こいつこのままだと暴れ続けるばっかりだし、下ろしてやってよ。じゃないとジュンゴが危ないし」
「何だよその言い方!」
 大地から遠まわしに危険物扱いされ、優輝が抗議する。
「いやだってさぁ、そんなに手足ばたつかせたら痛いのはぶつかったジュンゴじゃん。それに暴れてるから余計に下ろせないだろ」
 振り回す手足が当たった痛みで落としたら、優輝も怪我をするだろう。純吾はそうさせないために抱えたままでいるんじゃないか。
 純吾の味方に立つ大地に、優輝は不満そうにむくれた。まるっきり子供の拗ねかただ。
「ジュンゴ、平気だよ。当たっても痛くない」
 やんわりと純吾が優輝の擁護に立った。
「それに優輝軽い。もっと食べなきゃ」
「余計なお世話だ! 離せって!」
 再び暴れだした優輝に、純吾は「ダメ」と首を振る。
「優輝下ろしたら、逃げちゃう。ジュンゴ、それはいや」
「俺の意見は無視かよ! ――ダイチ!」
 助けを切望する目を優輝から向けられた大地は、にへらと笑い両手を合わせた。悪い。たぶん、俺には荷が大きすぎるわ、コレ。
 そそくさと逃げる大地に目をむき「この薄情者!」と優輝が叫ぶ。
「暴れちゃダメ。優輝足怪我してるから、ジプスに戻るまでこのまま」
「これぐらい平気だっての。バカ、下ろせって、いい加減に――」
 もがく優輝をそのままに、純吾は「先に戻ってるね」と大地へ言い残して歩き出す。悠然としている純吾を、大地は尊敬せずにはいられなかった。長年の付き合いでも手を焼くことがある幼なじみを、こうも簡単に抑えつけるとは。優輝からすれば厄介なことこの上ないだろうけど。
 でも、あそこまで慌てる優輝見られるなんて思わなかったな。そう思いながら、大地も二人の後を追う。荒ぶる幼なじみを落ち着かせるのに、少しでも人数がいたほうがいいだろうから。

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熟語で100のお題
04 妥協
アキラがちょっと物騒思考

 どうやら上は俺に知られないうちに事を済ませようとしていたようだ。穏便に終わらせようとでも思っていたのか。下手に過剰な行動は時に他との関係に軋轢を生む。
 しかし今となってはすべてが手遅れ。それよりも真っ先にこちらへ知らせるべきだっただろう。そうすりゃ、あっという間に片がつく。こういうのは間延びさせればさせるほど、状況は悪化する。
 締め切ったカーテンを少しだけ開け、俺は真向かいにあるホテルの様子をうかがった。最上階はこちらと同じくカーテンを閉め切り、中を探らせてくれない。
 ――まあ、いい。既にあちらの見取り図は頭の中に叩き込み、把握済みだ。最短ルートも確認している。
 俺は窓から離れ、床に置いていたアタッシュケースの前へと屈んだ。蓋を開くとそこには、ハンドガンが二挺。他にも銃弾にサイレンサー。確実に標的の息の根を止める準備を整える。
 一切妥協なし。よりにもよって、アイツを――ハルを狙いやがったんだ。当然の報いだろ。
 ハルを狙った時点で、テメエの命は終わったのも同じとしっかり覚えさせてやらないとな。口元に笑みを浮かべる俺の表情はさぞかし極悪だろう。決してハルやユキに夏樹。江ノ島の人たちには見せられない。
 淡々と準備を進める俺を見つめていたタピオカが、座っていたベッドの上で「ぐぁ」と羽を広げた。
「わかってるさ、タピオカ。すぐに終わらせて戻ってくる」
 笑みを和らげ俺は頼りがいのあるバディの忠告に頷いた。スーツ下のガンホルダーにハンドガンを装着し、準備は万端。立ち上がった俺は、タピオカの頭を一撫でし、一人で部屋を出る。
 涼しい笑みをしき、しかし内側では怒りを滾らせ、俺は歩く。
 さぁて、どう追いつめてやろうか。
 脳内で手順を組み立てていくうちに、俺の口元はまた不遜に上がった。

 

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熟語で100のお題
03 恋風


 今日の江ノ島も晴天だ。照りつける太陽は、日焼けした肌にはちょっぴり痛い。だけど海を走る青春丸に乗って、海の風を感じているとそんなものは吹き飛んで行ってしまう。今日も気持ち良くて、わくわくする。釣りがしたい。ルアーを遠くまで飛ばして魚を釣りたい。
 青春丸のみよしに、偏光グラスをつけた夏樹が立った。手にはルアーをつけたロッド。初めの一匹を釣る、大事な仕事の始まりだ。
「なつきぃー、がんばれぇー!」
 たもを手に、ハルが夏樹を激励する。それを見て小さく笑い、夏樹はルアーを海面へ投げていった。
 流れるようなフォーム。綺麗に放物線を描いて飛ぶルアー。海中へ沈んだルアーは泳ぐシイラを引っかけて、青春丸へと引き寄せていく。
 ユキは、この瞬間が好きだった。肉眼でもわかるシイラの群れと、役目を果たして誇らしそうに胸を張る夏樹にいつも目が奪われてしまう。だって、夏樹――すっごくかっこいいし。同じことを飽きることなく考えては、食い入るように見つめてしまっていた。
 ルアーを投げて釣り上げた魚を手にして笑うその顔が、ユキは好きだった。本当に釣りが好きなんだなって気持ちが伝わって、こっちにまで笑顔が移ってしまう。
 そしてこうも思ってしまうのだ――そうやって笑う夏樹はかわいいなって。
 かっこいいのに、かわいい。
 ――あれ? 俺、どうしたんだろう。
 ユキは胸を押さえた。なんだか心臓がどきどきしてる。
「あれ? ユキ、どうかした?」
 近づいてきたハルが、ユキの顔を覗きこんだ。
「顔がちょっとヘン。赤くなってる」
「な、なんでもないよ」
 ユキは慌てて首を振り、緩みがちになっている頬の筋肉に力をこめす。そしてたもを握り直し「それよりもはやく仕事仕事」と不思議がるハルを急かした。


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熟語で100のお題
02 勃発


 シャドウとの戦闘が終わるや否や、陽介が険しい顔をして苦無をしまった。そして無言で日向につかつかと近づく。一方涼しい表情で刀の血振りをする日向は、厳しい視線を受けて首を傾げた。
 日向の前でぴたりと立ち止り、陽介は相棒の肩を掴む。
「橿宮……、お前また突っ走って。言っただろあんまり単独で突っ込むのは危険だって」
「結果としては怪我してないからいいんじゃないか」
 臆面の欠片もない日向に、陽介は額を手で押さえ、深い溜息を吐いた。どうしてこいつは平然と言ってのけるんだ。どんな危険が潜んでいるのかわからないってのに。
「だーかーらー!」と陽介が顔を上げ、日向の両肩を掴みなおした。
「そうして突っ走るのが危ないっつってんの! せめて遠距離――いや、回復だってしろ。お前はいろんなペルソナ使えてなんでもござれなんだからさぁ!」
「殴ったほうが速い。それに」
 睨む陽介を日向も半眼で見据え、反論する。
「第一、シャドウにあえば即ペルソナに頼るお前だって極端だ。消耗だって激しいだろう。俺とお前、どっちもどっちじゃないか。決めつけ良くない」
「おーおー、言ってくれるじゃんか橿宮さんよぉ」
 日向から手を離し、陽介は大袈裟に肩を竦めてみせる。
「そんなこと言って、大怪我しても知らねえからな。……せっかくこっちは心配してんだってのに」
 半分拗ね気味でいう陽介に「何を言ってるんだ」と日向は眉を潜めた。
「俺は大怪我とかにはならないぞ」
「どうしてそう断言できる?」
「花村が助けてくれるからだろ?」
 ごく自然に、当たり前のように言う日向に陽介は一瞬息が止まった。固まってしまった陽介に、日向は「……違うのか?」と重ねてきいた。
 ――ああ、もうこいつは!
 無条件にこっちを信頼している日向に、陽介は腹立たしくも嬉しくなってしまう。だけど、素直に気持ちを表現するのもしゃくだった。
 だから陽介は日向に背中を向け、言い放つ。
「違わねーよ。バーカ!」

「……何あれ、勝手に喧嘩勃発させて、勝手にいちゃついてて」
 戦闘後の軽い屈伸運動を終え、千枝は呆れ顔で日向と陽介を見ていた。傍から見てれば青臭い場面を見ているようなものだが、本人たちは至って真面目なのが始末に負えない。
 千枝の側で同じく陽介たちの様子を眺めていた雪子が「いつものことじゃない」と笑った。
「放っておこうよ千枝。気にしててもどうしようもないし」
「……それもそっか」
 考えるだけ、こっちが疲れるだけ、そして当てつけられるだけだ。千枝はさっさと思考を切り替える。そしてまだまだ続く道中を考え「おーい、お二人さん。さっさと先に進もうよ」と日向たちを大声で呼んだ。

 

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熟語で100のお題
01 免疫

 純吾の横を、大地が走って通り抜けた。両手を大きくばっと広げ、前を歩いていた優輝の肩を掴んだ。
「わっ」と軽く悲鳴を上げ、優輝は奇襲を仕掛けた幼馴染を振り返る。いたずらが成功し笑う大地に対し、仕返しとばかりに優輝は抱き着く。
 きゃあきゃあ声を上げながらじゃれつく二人は、純吾から見れば子猫同士の戯れに見える。微笑ましく、そしてちょっぴり大地が羨ましい。ジュンゴも、あんな風に優輝をぎゅってしたいな。
 大地が優輝から離れ、飲み物を買ってくるとその場を後にした。遠ざかる幼馴染の背中を見つめる優輝に、そっと純吾が近付く。
「優輝」
「――っ!?」
 抱き寄せられた優輝は、その途端顔を真っ赤にして、純吾の胸を突き飛ばした。純吾は後ろへ軽くよろめき、悲しそうな目で優輝を見つめる。
「優輝、ジュンゴ嫌い?」
「な、ななな、なんで、そうなるんだよ。びっくりした!」
「だってジュンゴに抱き着かれるの、いやがった」
「いきなり抱き着かれたら、そりゃいやがるわ!」
「でもダイチには驚いてなかったよ?」
「そりゃ、ダイチは幼馴染だから。ちっちゃい頃からああいうのは普通だったし、免疫が出来てるんだよ」
「免疫……」
 純吾は考え、そしてまた優輝に近寄った。
「おい、ジュンゴ?」
 優輝は口元を引きつらせ、一歩後ずさった。
「じゃあ、免疫がつくまでジュンゴとぎゅってしよう?」
「なんでそうなるんだ!?」
「だって、ジュンゴもダイチみたいに優輝とぎゅってしたいから。……ね?」
「ね? じゃないっての! ちょ、ばか、やめろって!」
 迫る純吾に、優輝が悲鳴を上げる。

「たっだいまー。ご所望のジュース買ってきた……ってありゃ?」
 戻ってきた大地は、奇妙な光景に眉を潜めた。暴れているのをものともせず、純吾は腕の中に優輝を閉じ込めている。
「あっ、ダイチいいところに! 助けてくれ!」
 幼馴染の帰還に、優輝は諸手を上げて救助を求めた。しかし大地はにやりと笑い「ありゃありゃ、もしかして俺ってばお邪魔虫ってやつですか? お熱いねえお二人さん」と見物を決める。慌てる幼馴染の姿なんて滅多に見れないし、貴重だからもうちょっとこのままにしておきたい。
「うん。優輝とジュンゴ、あつあつ」
「どっちもバカなこと言うな! ダイチも見てないで助けろよ!」
「いやー、これはこれでいいんじゃないのかね。さすがのお前もジュンゴの天然には勝てないってことだよな」
 届かない位置から呑気に笑う大地に「ダイチ、覚えてろよ」と優輝が凄みを切らせて睨んだ。

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