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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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 花園神社から続く春の洞の探索を終え、七代たちは電車に揺られていた。運良く空いていた座席に燈治、七代、弥紀の順に座る。
 弥紀はマナーモードにした携帯で、巴にメールを送っていた。洞探索に弥紀か巴が同行する際、いつも帰る時
、二人は互いに無事の連絡を入れていた。
 マメだよな、あいつらは。横目でボタンを押す弥紀から視線を前に向け、燈治は流れていく新宿の風景をそれとはなしに眺める。
 洞には化け物がうじゃうじゃと沸いている。だが、脱出してしまえば待っているのはいつもと代わり映えしない街の姿。日常と非日常を行き来しているせいか差異の激しさに、時たま身体がついてゆかない。
「……っ?」
 不意に燈治の肩へ重みが乗った。反射的に横を見れば、七代の頭が乗っている。そこだけじゃなく身体全体の重みが燈治に寄りかかっていた。
「おい、千馗」
「……」
 返事はない。どうやら眠ってしまったようだった。
「疲れたんだね」
 メールを送り終えた携帯をしまい、弥紀が七代の寝顔を見て微笑む。
「着くまでそっとしとこう?」
「……だな」
 七代は洞の探索に体力をとても消耗してしまう。時には溜め込んだ情報をうまく処理しきれず発熱するときもあった。秘法眼をなるべく使おうとしないのも、情報を処理する能力を制御するため。
 いつも洞から出る七代は、眠たそうに瞼を擦っていた。そして今日は負荷が思いのほか掛かっていたのだろう。精神と身体の疲れが相まり、加えて電車の心地よい揺れ。あっという間に意識が夢の中へと持っていかれたらしい。
 目的の駅までの短い時間を、燈治は肩を七代の枕にしようと決めた。なるべ動かないでいようと心がける。しかし電車の揺れが、徐々に七代の頭を燈治の肩からずれさせていく。
 だんだん七代の身体が前のめりになっていく。このままでは、息苦しくなってしまう。
 燈治はちらりと横を見た。先ほどまで他の乗客が隣に座っていた。だが、幸運なことに前の駅で降りていて空いている。
 これなら大丈夫だろう。燈治は空いている横に少しずれ、傾いていた七代の身体を自らの方へ引き寄せた。膝に七代の頭が乗るよう場所を調節し、相棒の身体を落ち着かせる。
 眠りが深かったのか、七代が眼を覚ます様子は全くなかった。同じ男に膝枕をしている燈治へ、周りの乗客から視線が集中した。
 しかし燈治はそれら全部を一切無視する。
 燈治にとっては、奇異に映ってしまう自分を取り繕うよりも、少しでも七代が眠れるようにするほうが大事だ。
 人知れず、人のために戦う封札師のために。
 心地よい寝顔に「気持ちよさそうに眠っているね」と弥紀が言った。
「壇君の膝枕がいいのかな?」
「……固ぇだろ」
「でも本当に気持ちよさそう。口元が緩んでて、とっても可愛いよ」
 弥紀は柔らかく笑う。
 彼女がそこまで言う寝顔は、膝枕を提供している燈治からはあまり見えない。だけど、ここで覗き込んだら、周りの視線がいっそう冷たくなるだろう。さすがにそれに耐えられるほど、神経は太くない。
 寝顔を見られない代わりに、燈治はそっと伸ばした手で、七代の髪に指を差し入れた。ごく弱い力で優しく髪を梳く。
 がたん、と音を立て電車が僅かに速度を上げた。その拍子に七代の横髪が顔へと流れて耳が出る。ぽつんと蚊に刺されたような赤い痕がその後ろにあった。
「……」
 燈治はさりげなく髪を直し七代の耳を隠す。そっと掌で耳の辺りを覆いそこで手の動きを止めた。
 なんとなく、今七代がどんな表情をしているか、燈治は何となく分かった。
 恐らくは閨を共にした時見られる時のものと同等の。
「なんだかもうちょっとこのままにしてあげたいよね。だって、こんなによく眠ってるんだし」
 降りる駅が近づいて、弥紀が眠る七代を見て考える。
「この体勢はさすがにきついだろ」
 燈治が笑った。
「駅に着いたらさっさと起こしてちゃんと送ってやろうぜ。ちゃんと布団で寝たほうが疲れも取れるだろうしな」
 それに弥紀は兎も角、七代の寝顔を他の誰かに易々と見られたくない。心の中でそう付け加え、燈治は緩く握った指の背で七代の頬をくすぐる。
 んん、と七代は肩を竦める。その反応は二人で一つの毛布に包まるように寝ている時、見せるそれと同じで。ああ、やっぱり誰にも見せたくねえな、と燈治は早く目的の駅に着くようこっそり思った。




いつ付き合い始めたんですかとか色々ツッコミどころ満載ですが。
膝枕書きたかったので。

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