小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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真エンディング後。同棲設定でお願いします。
クッションを胸に敷き、七代は寝そべってテレビを見ていた。流れている番組は、美術やデザイン関係の話題を取り扱っている内容で、いつも楽しみにしているものだ。
手に届くところにお茶と東京BMのスナック菓子。もちろんおまけのカードは未開封のまま取っておき、蒐に渡すつもりだ。
憩いの一時。番組も始まり、さぁ見よう、とテレビに視線を向けた七代の腰にふと何かの重みが乗った。
振り向きかけた七代の視界の端で、横から伸びた手が、スナック菓子を奪い取る。
犯人は――もちろん一人しかいない。
「……壇」
「お前またコンソメ味かよ。たまには塩味買ってこいって」
燈治が寝そべり、奪い取ったスナック菓子の封を勝手に開けて食べていた。その頭は、七代の腰を枕がわりにしている。
「おれはコンソメが好きだからいいんですー。壇が自分で買えばいい話じゃないですか」
「出なきゃいけないんだろ。面倒臭ぇ」
自分の方へ寝返りを打つ燈治の手から「じゃあこれは自腹で買ったおれのものです」とスナック菓子を取り戻した。そして中を覗き込んで絶句する。
「もう殆ど食べてるし! バカなの? バカなの!?」
「二回言うな。……また買ってきてやるから」
「おれは、今、食べたいの!」
もー、と七代は頬を膨らませ袋の口を逆さにした。仰向けた口に、辛うじて残ったポテトチップスの滓が落ちていく。全く食べた気がしない。
七代は袋を四角く畳み、燈治に投げ付けた。見事袋は燈治の額に命中し、床へ落ちる。
「地味にいてぇな」とぶつかった箇所を摩る燈治を見て、多少溜飲が下った。また後で買いに行かせよう。ついでにアイスクリームとかも頼んでやる。
べー、と舌を出し、七代は番組に集中する。録画はしているけど、やはりリアルタイムでも見たい。
「……」
芸術品の解説を夢中になって聞いている七代を、燈治は彼の腰を枕にしたまま見つめる。初めてこうした時はとても驚き顔を赤くして逃げていたのに、案外慣れるのが早かった。
どうせなら、こうして二人でいるときぐらい、もっとひっついていたいのだけれども。実際そう口にした時「十分ひっついてるでしょうが」とうんざりした顔で七代に返されてしまったのも、まだ新しい話だ。
燈治からすればまだまだ物足りない。七代は物欲しそうな眼で見ている燈治には気づかず、テレビの番組に夢中だ。
「……」
燈治は反対方向に寝返りを打った。部屋着の七代は、下にハープパンツを履いていて、すらりとしたふくらはぎが見える。楽しみにしていた番組に両足がぱたぱたと上下に動いていた。
こういうところは子供だよな。燈治はふっと口許を上げ、こっそり手を伸ばした。
すぐに届いたハーフパンツの裾から手を差し入れ、太股を撫でる。
「……っ!?」
急に触られ、クッションに顔を埋めていた七代の上体が跳ね上がり、声にならない悲鳴を上げた。そのまま横に転がって逃げ、枕を失った燈治は固いフローリングに頭をぶつける。思わぬ鈍い痛みに、少し涙が滲んだ。
時間差で、ごんっ、と鈍い音がした。転がりすぎた七代が壁にぶつかってもんどり打っている。
二人して別々の痛みに堪える。七代のほうが先に立ち直った。ぶつけたらしい背中を後ろ手に回した手で摩り「……だーんー」と鬼の形相を燈治に向けた。
「お前はおれに恨みでもあんの?」
「いや、お前が」
「――はぁ?」
「お前がもうちょっと俺を構えば済む話で」
「知るかボケ! おれの楽しみ奪んな!」
七代は転がっていたクッションを渾身の力で投げる。ぶつかる寸前で避けたせいで、さらに怒りは増長したようだ。
「千馗。悪かったって。魔がさした」
「知るか。知るか! お前は当分×だからな、×!」
今度は以前蒲生に贈られてた○×クッションを投げ付けられる。ご丁寧に、燈治の方へ×印を向けて。
「だから、悪かったって」
受け止めた○×クッションを床に置き、燈治は壁に向かいあって膝を抱える七代の後ろへにじり寄る。ちょっとさっきのは度が過ぎた。粗暴な言葉遣いになっている七代は、本気で怒っている証拠だ。
「ばか、ばーか」と近づく燈治に七代はふて腐れた声で言う。耳の先まで真っ赤になっていた。
後ろから身体を抱き寄せて、その耳元に唇を寄せる。
「後で好きなもの奢ってやるから。な?」
「…………何でも?」
「カレーでも、フレンチトーストでもなんでも言えよ。何なら両方にするか?」
「コンビニで、さっきのチップスとハーゲンダッツと、シュークリーム追加でなら、許しても……いいかな」
「よし、商談成立だな」
「……しょうがないですねー」
言葉遣いも元通りになり、振り向いた七代は顔に赤みを残したまま「買ってくれるっていうんだし、許してあげましょう」と笑った。
「だな」と燈治も笑い、手元に置いていた○×クッションを手に取る。
「で、どっちだ」
「……は?」
「今日は○か×、どっちかって聞いてんだ。許してくれるんだろ?」
「…………」
にっこりと七代が綺麗な顔で笑う。無言で燈治の手からクッションを取り、そして。
「前言撤回!」
と、至近距離から燈治の顔目掛け、○×クッションを投げ付けた。
勿論、×の方を向けて。
「あ――」
境内の掃除をしていた零は、ふと感じた気配に顔を上げた。優しいこの氣は彼のもの。
「――雉明っ!」
境内の零を見つけるなり駆けてくる姿。相変わらず元気な様子に、零は微笑む。掃除の手を休め、「千馗」と零は来訪者を迎えた。
「来てくれるなんて、うれしい」
「おれも雉明が元気そうでよかった!」
「はい、頑張っている雉明に差し入れ!」と七代が大きいビニル袋を零に手渡した。受け取った零が覗き込むと大量の焼きそばパンやうまい棒が入っていた。
あまりの量に、零は「こんなに……たくさん」と眼を丸くする。
「いいのか? お金が……掛かるんだろう?」
心配する零を余所に「いいんですよ」と七代が僅かに拗ねた顔つきで答える。
「おれの懐はぜんっぜん痛みませんしー」
「……?」
どうして怒った顔をしているんだろう。首を傾げた零は、ふと後ろから近づく人影に気がつく。
先ほど手渡されたのと同じ大きさのビニル袋を下げた燈治がいた。七代と一定の距離を保ち、近づこうとしない。
どうしてこないんだろう。不思議そうに見つめる視線に気づいたのか、燈治が零を見て苦笑する。
どこか愉快そうな燈治に、どこか不機嫌そうな七代。二人を交互に見つめ、零は思った。
ひとはやはり斯くも難しいものなのだと。
チャット突発小話でした。
クッションを胸に敷き、七代は寝そべってテレビを見ていた。流れている番組は、美術やデザイン関係の話題を取り扱っている内容で、いつも楽しみにしているものだ。
手に届くところにお茶と東京BMのスナック菓子。もちろんおまけのカードは未開封のまま取っておき、蒐に渡すつもりだ。
憩いの一時。番組も始まり、さぁ見よう、とテレビに視線を向けた七代の腰にふと何かの重みが乗った。
振り向きかけた七代の視界の端で、横から伸びた手が、スナック菓子を奪い取る。
犯人は――もちろん一人しかいない。
「……壇」
「お前またコンソメ味かよ。たまには塩味買ってこいって」
燈治が寝そべり、奪い取ったスナック菓子の封を勝手に開けて食べていた。その頭は、七代の腰を枕がわりにしている。
「おれはコンソメが好きだからいいんですー。壇が自分で買えばいい話じゃないですか」
「出なきゃいけないんだろ。面倒臭ぇ」
自分の方へ寝返りを打つ燈治の手から「じゃあこれは自腹で買ったおれのものです」とスナック菓子を取り戻した。そして中を覗き込んで絶句する。
「もう殆ど食べてるし! バカなの? バカなの!?」
「二回言うな。……また買ってきてやるから」
「おれは、今、食べたいの!」
もー、と七代は頬を膨らませ袋の口を逆さにした。仰向けた口に、辛うじて残ったポテトチップスの滓が落ちていく。全く食べた気がしない。
七代は袋を四角く畳み、燈治に投げ付けた。見事袋は燈治の額に命中し、床へ落ちる。
「地味にいてぇな」とぶつかった箇所を摩る燈治を見て、多少溜飲が下った。また後で買いに行かせよう。ついでにアイスクリームとかも頼んでやる。
べー、と舌を出し、七代は番組に集中する。録画はしているけど、やはりリアルタイムでも見たい。
「……」
芸術品の解説を夢中になって聞いている七代を、燈治は彼の腰を枕にしたまま見つめる。初めてこうした時はとても驚き顔を赤くして逃げていたのに、案外慣れるのが早かった。
どうせなら、こうして二人でいるときぐらい、もっとひっついていたいのだけれども。実際そう口にした時「十分ひっついてるでしょうが」とうんざりした顔で七代に返されてしまったのも、まだ新しい話だ。
燈治からすればまだまだ物足りない。七代は物欲しそうな眼で見ている燈治には気づかず、テレビの番組に夢中だ。
「……」
燈治は反対方向に寝返りを打った。部屋着の七代は、下にハープパンツを履いていて、すらりとしたふくらはぎが見える。楽しみにしていた番組に両足がぱたぱたと上下に動いていた。
こういうところは子供だよな。燈治はふっと口許を上げ、こっそり手を伸ばした。
すぐに届いたハーフパンツの裾から手を差し入れ、太股を撫でる。
「……っ!?」
急に触られ、クッションに顔を埋めていた七代の上体が跳ね上がり、声にならない悲鳴を上げた。そのまま横に転がって逃げ、枕を失った燈治は固いフローリングに頭をぶつける。思わぬ鈍い痛みに、少し涙が滲んだ。
時間差で、ごんっ、と鈍い音がした。転がりすぎた七代が壁にぶつかってもんどり打っている。
二人して別々の痛みに堪える。七代のほうが先に立ち直った。ぶつけたらしい背中を後ろ手に回した手で摩り「……だーんー」と鬼の形相を燈治に向けた。
「お前はおれに恨みでもあんの?」
「いや、お前が」
「――はぁ?」
「お前がもうちょっと俺を構えば済む話で」
「知るかボケ! おれの楽しみ奪んな!」
七代は転がっていたクッションを渾身の力で投げる。ぶつかる寸前で避けたせいで、さらに怒りは増長したようだ。
「千馗。悪かったって。魔がさした」
「知るか。知るか! お前は当分×だからな、×!」
今度は以前蒲生に贈られてた○×クッションを投げ付けられる。ご丁寧に、燈治の方へ×印を向けて。
「だから、悪かったって」
受け止めた○×クッションを床に置き、燈治は壁に向かいあって膝を抱える七代の後ろへにじり寄る。ちょっとさっきのは度が過ぎた。粗暴な言葉遣いになっている七代は、本気で怒っている証拠だ。
「ばか、ばーか」と近づく燈治に七代はふて腐れた声で言う。耳の先まで真っ赤になっていた。
後ろから身体を抱き寄せて、その耳元に唇を寄せる。
「後で好きなもの奢ってやるから。な?」
「…………何でも?」
「カレーでも、フレンチトーストでもなんでも言えよ。何なら両方にするか?」
「コンビニで、さっきのチップスとハーゲンダッツと、シュークリーム追加でなら、許しても……いいかな」
「よし、商談成立だな」
「……しょうがないですねー」
言葉遣いも元通りになり、振り向いた七代は顔に赤みを残したまま「買ってくれるっていうんだし、許してあげましょう」と笑った。
「だな」と燈治も笑い、手元に置いていた○×クッションを手に取る。
「で、どっちだ」
「……は?」
「今日は○か×、どっちかって聞いてんだ。許してくれるんだろ?」
「…………」
にっこりと七代が綺麗な顔で笑う。無言で燈治の手からクッションを取り、そして。
「前言撤回!」
と、至近距離から燈治の顔目掛け、○×クッションを投げ付けた。
勿論、×の方を向けて。
「あ――」
境内の掃除をしていた零は、ふと感じた気配に顔を上げた。優しいこの氣は彼のもの。
「――雉明っ!」
境内の零を見つけるなり駆けてくる姿。相変わらず元気な様子に、零は微笑む。掃除の手を休め、「千馗」と零は来訪者を迎えた。
「来てくれるなんて、うれしい」
「おれも雉明が元気そうでよかった!」
「はい、頑張っている雉明に差し入れ!」と七代が大きいビニル袋を零に手渡した。受け取った零が覗き込むと大量の焼きそばパンやうまい棒が入っていた。
あまりの量に、零は「こんなに……たくさん」と眼を丸くする。
「いいのか? お金が……掛かるんだろう?」
心配する零を余所に「いいんですよ」と七代が僅かに拗ねた顔つきで答える。
「おれの懐はぜんっぜん痛みませんしー」
「……?」
どうして怒った顔をしているんだろう。首を傾げた零は、ふと後ろから近づく人影に気がつく。
先ほど手渡されたのと同じ大きさのビニル袋を下げた燈治がいた。七代と一定の距離を保ち、近づこうとしない。
どうしてこないんだろう。不思議そうに見つめる視線に気づいたのか、燈治が零を見て苦笑する。
どこか愉快そうな燈治に、どこか不機嫌そうな七代。二人を交互に見つめ、零は思った。
ひとはやはり斯くも難しいものなのだと。
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