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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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 燈治が眠っていると、ふと寒い空気が体温で暖められた布団に侵入した。忍び寄る冷たさは、否応なしに燈治の意識を心地よい睡眠から持ち上げる。せっかく気持ちよく眠っていたのに。眠気のせいもあって不機嫌さを隠さず眉間に皺を寄せ、瞼を開ける。
「……今日は何もしないとか言ってなかったか?」
 眠気を隠さず言えば「はい、今日は何もしませんしさせませんよ」と肯定しつつ、七代が捲りあげた毛布の端から寝間着でベッドに潜り込んだ。甘えるように絡む足は裸足で床を歩いたせいかひんやりと冷たい。
 七代はベッドで寝るのが苦手だ。ばねの感触が、どうも睡眠を阻害するらしい。だからいつもは燈治が使うベッドのすぐ横に布団を敷いて眠る。ただ一つの例外が、肌を重ねて抱き合う時だけだ。その結果、七代が進んでベッドにはいるのは性交を誘う意味合いを持っている。
 しかし今日は互いに疲れているし、七代は封札師の仕事があるからしない、と夕食時に宣言していた。それに反するような行動を取る七代に横臥の状態から抱きつかれ燈治は困惑していた。
「じゃあどういうつもりだよ」
 それでも七代がベッドから落ちないよう身をずらす燈治に、彼は微笑んで「だって今日は寒いじゃないですか」と肩を頬ですり寄った。
「一人で寝るよりもあったかいと思うんですけどね。燈治さん、体温高いし」
「そういうお前は手足が冷たくなってんな……」
 燈治にひっつく七代の手足はひんやりしている。ついさっきまで外気に触れていたせいもあるが、もともと彼は平熱が低い方だった。
 ったく、しょうがねえな。元々面倒見がよい燈治は形ばかりの嘆息を短く吐き出した。寝返りを打って七代と向き合う形になり、腕を背に回して冷えた身体を抱きしめる。
 同じ石鹸を使っているのに、七代の匂いは甘く、下腹部にきそうだ。しかし七代は燈治の胸元に手をすがらせ、あっと言う間に眠ってしまう。こっちの気も知らないで。
 こりゃ、生殺しだろ。今度は本気のため息を吐き、それでも燈治は七代の身体を離そうとしない。せっかくだからこっちもこいつを抱き枕にしてやろう。せっかく何もしないで温めてやってんだ。これぐらい安いだろう。
 腕に力を入れ、更に身体を密着させた燈治は胸一杯七代の匂いを吸って瞼を閉じた。たぶん、眠れるのには時間がかかるだろうけど。

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