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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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熟語で100のお題
01 免疫

 純吾の横を、大地が走って通り抜けた。両手を大きくばっと広げ、前を歩いていた優輝の肩を掴んだ。
「わっ」と軽く悲鳴を上げ、優輝は奇襲を仕掛けた幼馴染を振り返る。いたずらが成功し笑う大地に対し、仕返しとばかりに優輝は抱き着く。
 きゃあきゃあ声を上げながらじゃれつく二人は、純吾から見れば子猫同士の戯れに見える。微笑ましく、そしてちょっぴり大地が羨ましい。ジュンゴも、あんな風に優輝をぎゅってしたいな。
 大地が優輝から離れ、飲み物を買ってくるとその場を後にした。遠ざかる幼馴染の背中を見つめる優輝に、そっと純吾が近付く。
「優輝」
「――っ!?」
 抱き寄せられた優輝は、その途端顔を真っ赤にして、純吾の胸を突き飛ばした。純吾は後ろへ軽くよろめき、悲しそうな目で優輝を見つめる。
「優輝、ジュンゴ嫌い?」
「な、ななな、なんで、そうなるんだよ。びっくりした!」
「だってジュンゴに抱き着かれるの、いやがった」
「いきなり抱き着かれたら、そりゃいやがるわ!」
「でもダイチには驚いてなかったよ?」
「そりゃ、ダイチは幼馴染だから。ちっちゃい頃からああいうのは普通だったし、免疫が出来てるんだよ」
「免疫……」
 純吾は考え、そしてまた優輝に近寄った。
「おい、ジュンゴ?」
 優輝は口元を引きつらせ、一歩後ずさった。
「じゃあ、免疫がつくまでジュンゴとぎゅってしよう?」
「なんでそうなるんだ!?」
「だって、ジュンゴもダイチみたいに優輝とぎゅってしたいから。……ね?」
「ね? じゃないっての! ちょ、ばか、やめろって!」
 迫る純吾に、優輝が悲鳴を上げる。

「たっだいまー。ご所望のジュース買ってきた……ってありゃ?」
 戻ってきた大地は、奇妙な光景に眉を潜めた。暴れているのをものともせず、純吾は腕の中に優輝を閉じ込めている。
「あっ、ダイチいいところに! 助けてくれ!」
 幼馴染の帰還に、優輝は諸手を上げて救助を求めた。しかし大地はにやりと笑い「ありゃありゃ、もしかして俺ってばお邪魔虫ってやつですか? お熱いねえお二人さん」と見物を決める。慌てる幼馴染の姿なんて滅多に見れないし、貴重だからもうちょっとこのままにしておきたい。
「うん。優輝とジュンゴ、あつあつ」
「どっちもバカなこと言うな! ダイチも見てないで助けろよ!」
「いやー、これはこれでいいんじゃないのかね。さすがのお前もジュンゴの天然には勝てないってことだよな」
 届かない位置から呑気に笑う大地に「ダイチ、覚えてろよ」と優輝が凄みを切らせて睨んだ。

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