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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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 今日は一人で探索しようと決め準備を終えた七代は、羽鳥家の自室を出た。ナップサックを片肩に担ぎ、「洞に行ってきますね」と台所の清司郎に声をかける。清司郎は振り向きもせず「夕飯までには帰ってこい」と素っ気なさを含んだ声で七代を送り出した。
 鳥居を潜ったところで七代は携帯を開いて仲間を呼ぶ。しかし携帯は制服のポケットにしまったまま、今日は使うつもりもない。
 皆が頼りないわけではない。ただ本来封札師は単独での任務を遂行していく。呪言花札の件が片づいても、これから七代には様々な任務が命じられるだろう。その時一人では何もできないと言う無様を犯したくない。もっと強くなって皆を守りたい気持ちも含まれている。
 今日の目的地は春の洞だ。その前にドッグタグへ寄って、依頼を受けよう。予定を組み立て歩く足が、ある姿を往来で見つけ立ち止まった。
 向こうも七代を見つけたらしく。軽く「よぉ」と手を挙げて歩いてきた。
「……壇」
「よ、奇遇だな。こんな所で会うなんてよ」
「そう、ですね……」
 タイミングが悪い。七代は己の不運を嘆いた。よりにもよって一番やっかいな相手に見つかってしまった。
 歯切れの悪さに「どうした?」と燈治が尋ねた。
「なんか、マズいって顔してるな」
「べ、別にそんなことないですよ」
 笑顔を繕ってごまかす。この場をどうにかしのいで、燈治に悟られないようにしないと。
 しかしタイミングの悪さがここに来て重なった。七代が背負うサックを目敏く見つけ「もしかして……これから洞に行くつもりか?」と燈治が眉を潜める。
 マズい。燈治のことだから、探索に向かうと知れたら絶対に着いていくと言い出すだろう。
「違いますって!」
 七代は焦りから強い口調で首を振った。それがさらに疑いを持たれるとは知らず。
「そうやってムキになるってことは行くんだな」
 確信した燈治は「ったく嘘がつけない奴だよ、お前は」と片手を腰に添え、苦笑いした。あっさりとごまかしが失敗し、七代は「別に一人でも大丈夫ですから」と拗ねて燈治から顔を背ける。
「へぇ、この前落とし穴に落ちかけたのにか? ああ、依頼の達成方法がわからなくて右往左往してたりもしてたな」
「だーかーら、それも華麗にバッチリ解決! しちゃうんですし!」
「……ふーん、言ったな」
 左手で一度顎をさすって「じゃあ俺がついてって、それが本当かどうか見届けてやるよ」と口角をあげて笑った。
「よーし、ばっちり証明しちゃうんですか……ら…………って、あ」
 しまった。七代は己の失敗を悟った。売り言葉に買い言葉で結局燈治の同行を許す形になってしまった。
「しまったぁあああ!!」
 丸め込まれてしまい頭を抱える七代に、燈治は勝者の余裕を持ってその肩を叩く。
「じゃ、決まったとこで行くか。――つれてけよ」
 口調の軽さと反し、肩に乗せた手は七代を逃さないように力が込められていた。

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