小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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ハルは暇を持て余していた。やることもなくじっとしているのは苦痛だ。
目の前では、アキラがノートパソコンを前に作業している。時折指を止め、画面に顔を近づけて凝視する。かと思えばまたキーボードを叩いて。
部屋にはかこかことキーボードを叩く音だけがする。
「アキラ~っ、つまんない~!」
とうとう耐え切れなくなり、ハルはアキラの背中にのしかかった。首に腕を回して「あそぼ~よ!」としがみつく。
真田邸にはハルとアキラしかいない。ユキはヘミングウェイのバイトだし、ケイトはサムエル・コッキング苑で働いている。どちらも夕方になるまで戻ってこない。
アキラは黙って、しがみつくハルの腕を掴んで無理やり引きはがした。弾みでハルは床に転がる。
「アキラ乱暴禁止!」
「そっちが勝手にしがみつくから離しただけだ」
アキラは振り返りもしない。
「俺は今仕事中! 遊びたくても終わんなきゃ遊べないんだよ! ああ、もう! これぐらい村田とかでも出来るだろうに、アイツらは!」
「ぶー」
「むくれても駄目。遊べない」
アキラは猫を追い払うような仕草でハルに手を振った。そっけないアキラに「ケチ」と文句を垂れながら、渋々部屋を出る。閉めた扉に背をつけて俯き「……つまんなーい」と呟いた。
拗ね気味のハルに、廊下を歩いてタピオカが近付いてきた。ハルの足元で立ち止り羽を大きく広げる。
「ぐぁー、ぐあっ」
「えっ?」
ハルはしゃがんでタピオカと視線を合わせた。
「タピオカ、ぼくと遊んでくれるの?」
タピオカは首を縦に振り「ぐぁ」と鳴いた。甲斐性のないバディに代わり。今日は私が面倒を見よう。そう言っているようにハルには聞こえた。
「やったぁ!」とハルは喜び、両手を伸ばしてタピオカを抱き上げた。
「ありがとう、タピオカ」
ぎゅっと抱きしめハルはタピオカに感謝する。
「じゃあ、一緒におさんぽいこっか。海に行く? 保っちゃんのところとかでもいいよね~」
すっかり機嫌を直したハルは、タピオカを抱っこしたまま歩き出す。寂しい気分はすっかり消え失せていた。
「……ん?」
ノートパソコンの横に置いていたスマホが着信音とともに震える。手に取ってみれば、ユキからのメールが届いていた。画像が添付されている。
「……?」
首を傾げて開いてみると、そこにはケーキをほお張るハルと、隣で山盛りのハムを啄むタピオカが映っていた。
「何をやってんだアイツらは……」
苦い顔をしてメールの本文を読む。
――仕事が終わったらハルたちを迎えに来てやってよ。あと、料金はアキラ持ちだって、海咲さん言ってるから、早めに来た方が……。
「………………」
アキラは無言でメール画面を閉じた。そのままスマホは元の場所に戻し、再び仕事に戻る。代金がかさみすぎたらどうするんだ。海咲は遠慮なくケーキを振舞うだろうし、ハルもタピオカも遠慮を知らないから。
ちくしょ、と唸りながらキーボードを叩く。その指の動きは、メールが来る前よりかなり速くなっていた。
20のお願い(14.構ってください)
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