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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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※夏樹が渡米していないというIF的な要素を含んでいるよ。それを踏まえて見てね。


 ある日の夕方。夏樹は店の手伝いを終えた後、ランニングウェアに着替え日課のランニングに出かけた。軽くストレッチをこなし、さっそく始める。
 今日はどのコースで行こうかな。頭の中で夏樹は走る道順を思案した。江ノ島を周回したり、江ノ島大橋を渡り、海沿いを走ったり。他にもいくつかコースがある。毎日同じ場所ばかり走っていてもつまらない、と夏樹なりに模索していた。
 考えた末、今回は江ノ島大橋を渡ることにした。緩く速度を維持しながら、足を進める。
「……ん?」
 江ノ島大橋の半ばまで来たところで、夏樹は見知った背中を見つけた。楽しそうにスキップをしている背中へあっという間に追いつき「ハル」と声をかける。
 ぱっと振り返った少年――ハルが「あっ、夏樹!」ときれいな花みたいに笑う。
 夏樹はハルに合わせて歩き「どうしたんだ、もう夕方だぞ」ときいた。
「おかいもの! アキラにね、これ買ってきてくれって頼まれたんだー」
 ハルは元気よく答え、夏樹に持っていたメモを渡した。
 受け取ったメモには、ガムや栄養ドリンクなど買うものを箇条書きされていた。その下には『レシートは捨てないこと。後で領収書として本部に送りつけるから』と付け加えられている。あの男はきっちり所属している組織から料金をふんだくるつもりらしい。
「おつかいはわかったけどさ……」
 メモをハルに返した夏樹は渋面になった。もうすぐ日が暮れる時間で、すぐに外は暗くなるだろう。江ノ島にはコンビニがない。近場でも江ノ島大橋を渡らなければならず、歩くとすればそれなりの時間がかかってしまう。
「一人じゃ危ないだろ。せめてユキと一緒に行けよ」
「ユキはケイトとお夕飯の準備してるから。今日はねグラタンなんだって。上におっきなハンバーグを乗せてくれるんだ~」
 楽しそうに献立を話すハルに、ますます夏樹は心配になった。ハルに危機感がないのが、さらに不安を掻きたてる。
 夏樹にとってハルは、気心の知れた友人であり、また世話のかかる弟のようでもあった。だからついついさくらやさつきと同じく、ハルに対しても面倒を見てしまう。そして今回も。
「俺も一緒に行っていいか? 心配だし」
「ほんとう!? ありがとう夏樹!」
 こうして夏樹はトレーニングをやめ、ハルと並んで歩く。
「……ったく、アキラのヤロー。仕事が忙しいからってハルを使いっ走りさせやがって……」
 アキラに対し文句を言う夏樹に「夏樹ぃ~、笑って笑って」とハルはにっこりした。
「ぼくね、うれしいんだ~」
「嬉しい?」
「うん。ぼくはアキラのお仕事お手伝いできない。だけどおつかいはできる。これ買ってきたらアキラはうれしい。アキラがうれしいとぼくもうれしい。だからね、アキラが頼ってくれてぼくうれしいよ!」
 危ないかもしれないのに。そうアキラを苦々しく思っていた夏樹は、ハルの素直な気持ちに毒気を抜かれた。
「お前がそんなんだから、アキラもよっかかるんだろうな……」
「あ、あとね! 好きなお菓子一個買ってもいいって言ってくれたんだよ。なに買おうか迷っちゃうよ」
「ああ……、ご褒美もあるんだな……」
 使いっ走りさせるだけじゃないんだな。そりゃハルもはりきる訳だ。妙に夏樹は納得してしまう。
「夏樹? どうしたの?」
 不思議そうに首をかしげるハルに「なんでもない」と誤魔化し、夏樹はその背中を軽く押した。
「ほら、早く行くぞ。帰りも送ってってやるから」
「夏樹とおかいもの初めて! 今度はユキやアキラとも行きたいね!」
 無邪気に提案するハルに、夏樹は「そうだな」とまるで弟を見守るような優しい目をしていた。


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