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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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 朝、目を覚ましたユキが洗面所で顔を洗っている。江ノ島に来て朝釣りをするようになってから、早起きも苦ではなくなっている。今日も家事を済ませたら、海に繰り出すつもりだ。
「おふぁよ~」
 冷たい水で眠気を覚ますユキに、「おふぁよ~」と眠い目をこすりながらハルがやってきた。まだ半分寝ているハルの足取りは、おぼつかなくて危なっかしい。
「んんぅ~、ねむいよぉ~」
 舌足らずな口調で言い、ハルはユキの身体にもたれかかった。力の抜けているせいで、抱きつかれる時よりも重く感じる。ユキは慌ててハルの両肩を掴んで支える。
「うわっ、ハル! ちゃんと立てって」
「んんぅ……ん……」
「寝るなよ!」
 洗顔を終えたばかりで濡れているユキの顎から落ちた水滴が、ハルの首筋に落ちた。ぴくりとハルの肩が跳ねたが、それだけで目覚める気配は見せない。
「あー、もう……」
 ユキはハルの上体を片腕で支えながら、洗面所の壁にかけてあるタオルを後ろ手に探った。どうにか掴んで引き寄せたタオルで顔を拭いた。
「ハル。おいハル。起きろって」
 ユキはハルを起こすべく、強めの口調で呼びかけた。しかしハルは目を覚ますどころか、寝息を立てている始末だ。支えられているから倒れないと判断したのか、すっかりユキに身体をゆだねている。
「ったく、しょうがないな……」
 ハルに振り回されているのは慣れている。これでも一緒に暮らし始めたころと比べたら、大人しいものだ。達観しつつハルの体の向きを変え、わきの下に腕を入れる。そして引きずるように洗面所を出た。そのまま台所まで出て、リビングのソファまで連れて行く。
 すっかり眠ってしまったハルを寝かせ、一仕事を終えたユキは小さく息を吐いた。
「やらなきゃいけないこと多いのに、なんだか疲れた……」
 花の水まきに朝食の準備。あとは掃除洗濯だってしなきゃいけないのに。僅かにやる気をそがれたユキを余所に、寝返りを打ったハルが背中を向ける。
 本当のんきだな。背中を丸めるハルを見つめる。
「……ん?」
 ハルのうなじについた赤い痕を見つけた。毛先で隠れるか隠れないか、ぎりぎりの位置についている。ぽつりとついた痕に蚊が出たのかな、とユキは思った。いやだけど、最近は出てきていないような気がするんだけど。そもそも咬まれないよう、蚊取り器を各自の部屋につけているはず。
「……そういえばハルはアキラの部屋で寝てたはずだよな」
 時たまハルは押しかけ同然でアキラの部屋に泊まっている。昨日も枕持参でアキラと共に部屋へ引き上げていった。
 一つの考えが、ユキの脳裏をよぎる。しかしそれ以上深く考えないようにした。自分の精神安定のためにも。
「花の水やりに行こう……」
 くるりと方向転換し、ユキはサンルームから庭へと出ていった。
 リビングには一人静かに眠るハルが残される。静かに眠り続けるそのうなじに刻まれた痕は、まるでコイツは自分のものだと主張しているようだった。


キスを落とす25箇所【08:首の裏へ存在を刻むように】

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