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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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※ほんのり夏ユキ風味入ってます


 ヘミングウェイで釣りの雑誌を読んでいたアキラは、突然「アキラっ」と呼ばれた。反射的に声のする方を向くと、突然口元にスプーンですくったプリンを突きつけられる。目を丸くしたアキラに「はい、アキラ、あーんして」とハルがせっついた。
「……」
「あーん。アキラ、あーんして」
 ハルは閉ざされたままでいるアキラの唇を、スプーンの先端で突っついた。
 アキラは無言でハルの腕を掴んで横にずらし、突きつけられたスプーンを口から離した。途端に「食べてよぉー」とむくれるハルに対し「……お前が食べればいいだろう。せっかく注文したんだから」と言い返す。
 アキラの口に突き付けられたプリンは、ハルが注文したプリンアラモードの一部だ。ご丁寧にハルは盛り付けられていたクリームも添えてくれている。お陰で口にクリームが少しついてしまった。唇の表面を舐めた舌に、甘い味が乗る。
「でもユキも夏樹に同じことしてたよ?」
「……は?」
「夏樹、すっごく嬉しそうに笑ってた」
 いぶかしむアキラにハルはめげない。位置をずらされたスプーンを再びアキラの口へ近づけた。
「だからぼくも同じことするっ。はい、あーん」
「アイツら……、せめてハルに見つからない場所でしろよ……」
 ただでさえ影響を受けやすいところがあるのだから。いや、でももっと際どいところ見られないだけでもまだマシなんだろうか、この場合。悩むアキラにハルは「もう、食べてよぉ~」と引かない。言うことを聞かなければずっと真似し続けてそうだ。
 やれやれ、と内心肩を竦めつつ、アキラはハルの行為に甘える。閉ざした唇をそっと開くと、ハルの手によって運ばれたプリンの味が咥内に広がった。クリームも一緒だから甘味が強い。
 俺はもう少し甘さ控えめが好みだな。アキラはそう思いつつも、
「アキラ、おいしかった?」
「……まあ、な」
 俄かに緊張した面持ちで尋ねるハルに笑ってほしくて、つい頷いてしまった。
「やった~! ぼくうれしい~っ!」
 喜ぶハルに、アキラは目を細める。そしてハルからスプーンを取ると、お返しと言わんばかりにプリンを掬って「ほら」とその口元へ近づけた。


5つの甘やかし【1、食べさせてあげる】

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