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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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 食器洗いはケイトの手伝いで慣れている。それでも割らないよう、ユキはゆっくり丁寧に食器を洗う。
 バスプロになる為渡米した夏樹と入れ替わるように始めた、ヘミングウェイのバイト。半年近く経って、最近じゃ海咲に聞かなくとも自分で判断して出来ることが増えてきた。まだ失敗もするけれど、めげずに済んでいる。失敗したら、同じことを繰り返さないよう学んでいけばいい。
 一仕事を終えたユキは手を拭き、乾いた布巾で洗った食器を拭いていく。
 そこに足元へ歩いてきたタピオカが、ユキの脛をとんとん、とくちばしで突いた。
「タピオカ?」
 怪訝な顔をしてカウンターの中に入り込んだアヒルを見下ろす。タピオカは羽を広げて「グァッ」と一鳴き。ハムをよこせのサインだ。しかしタピオカがこの行動を見せるのはアキラのみ。それを見て、こちらに注文を受ける流れにいつもなっている。いつもとは違う状況にユキは不思議に思い、テーブル席に顔を向けた。
 アキラとハルが並んで座っている。ハルが手に持っているのは、アキラのスマホだ。未知の機器にハルの目は興味一杯の視線を注いでいる。
「すっごーい、これってつりもできるんだ」
「まぁ、本当のつりとは全く勝手は違うが……」
「でもやってるんでしょ?」
「仕事でどうしても行けないときにな……。こういうので憂さ晴らしするしかないんだよ」
 げんなりと頬杖をつくアキラの顔を覗きこみ、ハルはにっこり笑った。
「アキラ、いつもお仕事がんばってるもんね。えらいっ」
「そ、そうか……?」
「うんうん。えらいえらい」
 スマホをテーブルに置き、ハルはアキラの方を向いて、ぱちぱちと拍手をした。ハルなりの賞賛に、アキラは悪い気がしないようだ。不機嫌な表情が薄れ、ハルにやさしく微笑みかけている。
 ――なるほど、タピオカがこっちに来た訳だ。ユキは納得した。タピオカは空気が読める優秀なアヒルだ。アキラに呼びかけても、二人の邪魔をしてしまうと悟ってこっちに来たんだろう。だって、アキラ今、すっごい表情緩んじゃってるし。
 ユキは忍び笑いを浮かべながら、ちょっと待っててと手ぶりでタピオカに合図した。了解した、と言わんばかりにタピオカがまた羽を広げる。
 冷蔵庫からサンドイッチ用のハムを取出し、薄切りにする。タピオカが発揮した気遣い分、すこし多めに皿へ盛った。
「はい、タピオカ」
 カウンター近くのテーブル下に置かれたハムの皿に、タピオカは喜んでさっそく一枚ずつ食べ始める。丸っこい頭を撫で、カウンターに戻ったユキは、改めてアキラとハルを見る。
 二人はまだ話し込んでいた。ユキの視線に気づく様子もない。
 幸せそうだな、二人とも。最初は警戒し合っていたのが嘘みたいだ。
 願わくば、このままでいてくれますように。
 これがずっと続きますように。
 ユキはそっと願った。
 ハルの幸せだと――きっとみんなも幸せになれるから。俺や夏樹や、ばあちゃん。さくらちゃん、ハルのことを知ってる人たち。
 ――アキラだって。
 見ているユキの胸がじわりと暖かくなってきた。
 これが幸せってことなのかな。そう思いながら、ユキは途中だった食器拭きへと戻っていった。

20のお願い(20.このままでいてください)

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