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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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 任務で派遣された先のホテルの部屋へ戻ってくるのと同時に、スーツのポケットに入れていたスマホが震えた。両手から片手にタピオカを抱き直し、スマホを取り出す。
 画面にはユキからの着信が入っていた。笑顔のユキとハルが映った画像も同時に表示されている。
「――もしもし」
「アキラ!」
 すぐ着信に出たアキラの耳に、ハルの声が届いた。いつもと変わらない明るさに、アキラは自然と微笑んだ。
「ハルか。またユキのスマホ借りたのか?」
「うん! だってアキラとお話ししたかったんだもん。今日もお仕事だった?」
「そうだ。でも終わったから」
 言いながら、タピオカを床に下ろす。羽ばたきながら軽やかに着地する後姿を見つめながら、アキラは片手でネクタイを緩めた。
 解いたネクタイを放ったベッドに座り「それで、今日はどんなことがあったんだ?」と話の続きを促す。
 最近、よくハルがユキのスマホを借りて着信を入れてくる。そして、今日あったことを話し聞かせてくれる。話題は尽きず、たまに二つの事柄がごっちゃになり、内容が把握し辛い時もあったが、たいていハルの好きに話させている。アキラにとって、ハルの声は聴くだけで一日の疲れがとれる清涼剤みたいなものだ。
「じゃあ、聞いて聞いて! あのね、今日はユキと釣りにいったんだー。そしたらね、さくらも来て――」
 今日も楽しそうなハルの話に、アキラは相槌を打ちながら耳を傾ける。ゆっくり背中からベッドに倒れこむと、思いのほか身体が疲労で重たく感じた。
 柔らかなベッドに、耳元からハルの声。これは油断したらすぐに寝落ちてしまいそうだ。このままではハルの声が聞こえなくなってしまって、もったいない。ただでさえこうして離れているのだから。
 アキラは欠伸をかみ殺し、すぐに身体を起こす。備え付けの小さな冷蔵庫から、取り出したミネラルウォーターを飲んだ。少しでも眠気を飛ばして、ハルの声をしっかり聴けるように。

20のお願い(17.聞いてください)

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