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熟語で100のお題
04 妥協
アキラがちょっと物騒思考
どうやら上は俺に知られないうちに事を済ませようとしていたようだ。穏便に終わらせようとでも思っていたのか。下手に過剰な行動は時に他との関係に軋轢を生む。
しかし今となってはすべてが手遅れ。それよりも真っ先にこちらへ知らせるべきだっただろう。そうすりゃ、あっという間に片がつく。こういうのは間延びさせればさせるほど、状況は悪化する。
締め切ったカーテンを少しだけ開け、俺は真向かいにあるホテルの様子をうかがった。最上階はこちらと同じくカーテンを閉め切り、中を探らせてくれない。
――まあ、いい。既にあちらの見取り図は頭の中に叩き込み、把握済みだ。最短ルートも確認している。
俺は窓から離れ、床に置いていたアタッシュケースの前へと屈んだ。蓋を開くとそこには、ハンドガンが二挺。他にも銃弾にサイレンサー。確実に標的の息の根を止める準備を整える。
一切妥協なし。よりにもよって、アイツを――ハルを狙いやがったんだ。当然の報いだろ。
ハルを狙った時点で、テメエの命は終わったのも同じとしっかり覚えさせてやらないとな。口元に笑みを浮かべる俺の表情はさぞかし極悪だろう。決してハルやユキに夏樹。江ノ島の人たちには見せられない。
淡々と準備を進める俺を見つめていたタピオカが、座っていたベッドの上で「ぐぁ」と羽を広げた。
「わかってるさ、タピオカ。すぐに終わらせて戻ってくる」
笑みを和らげ俺は頼りがいのあるバディの忠告に頷いた。スーツ下のガンホルダーにハンドガンを装着し、準備は万端。立ち上がった俺は、タピオカの頭を一撫でし、一人で部屋を出る。
涼しい笑みをしき、しかし内側では怒りを滾らせ、俺は歩く。
さぁて、どう追いつめてやろうか。
脳内で手順を組み立てていくうちに、俺の口元はまた不遜に上がった。
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