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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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 アキラはヘミングウェイで持ち込んだパソコンを前に難しい表情をしていた。上司に提出する報告書をまとめているが、どうもうまくまとまらない。かといって手を抜くのはアキラの信条に反している。やれることは非の打ちどころもなく完璧に、だ。
 画面を睨みながら、アキラは左手でキーボードを打ち込む。そして右手はパソコンの横に置かれたサンドイッチを取った。作業をしながら食事をすることが多いアキラにとって、サンドイッチは食べやすいものの一つだ。手は汚れないし、作業の邪魔にもならず効率を落とさない。少し行儀は悪いとは思うけど。
 一口サンドイッチをかじると、マスタードマヨネーズの辛さが舌を刺激する。具はレタスやトマト、ハム。それにさりげなくしらすが混ざっている。意外にもしらすの塩味がうまく具材の味をひきたてていた。
 あっという間にアキラはサンドイッチを一つ平らげる。その間にも左手は滑らかな動きでキーボードを打っていく。やっぱり空腹でいるよりも、腹に何か入れていた方が集中できるな。
 さて、もう一つ食べてしまうか。アキラは再び右手を皿へと伸ばし――。
「アキラ、ごはんがくちについてるよ」
 逆に口元へ白い肌の手が伸びてきた。相手は言わずともわかる。――ハルだ。
 いつの間にか横に立っていたハルは、アキラの口元についていたパンくずを指の背で拭い取った。唖然とするアキラの目の前で、ハルは当たり前のようにそれを食べてしまう。
「おいしーね。ぼくもたーべよっと」
 にこりと笑い、ハルはくるりとアキラに背中を向けた。そしてカウンターに駆け寄り「海咲ねえ! ぼくにもアキラと同じのちょーだいっ!」と元気よく注文をする。
「はいはい。待っててねー、今作るから」
「うんっ!」
「………………」
 朗らかな海咲と弾むようなハルの声を背中越しに聞きながら、アキラは固まっていた。まさかハルから子供がしてもらうようなことをされてしまうなんて。
 かっとアキラの頬が熱くなる。嬉しさよりも、羞恥が勝った脳内は混乱の一途を辿った。なんか、もう、すごい、恥ずかしい……!
 その後アキラは仕事に手がつかなくなり、また違った意味で頭を抱えることになる。
 そしてうなだれる背中を、タピオカがまるでわが子を見つめる親のような目で見ていたことに、アキラは気づく余裕もなかった。


5つの甘やかし【3、口元を拭いてあげる】

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