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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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 何も考えずに歩いていた。いや、無意識に考えないようしていたのかもしれない。廊下に響く足音だけが、優輝の耳に届く。やけに急いで歩いている、と今はそれを認識するだけで精一杯だった。
「――っ」
 司令室と居住区を繋ぐ階段に足をかけたところで、後ろから腕を引かれた。強い力に身体は容易く引き留めた人物の胸へ閉じこめられる。
 驚き顔を上げた優輝を、純吾が心配そうな眼差しで見つめ返していた。
「大丈夫だよ」
 純吾があやすように優しい声で言った。ぼんやりした思考で優輝は、何が大丈夫なんだろう、と思う。
「大丈夫。怖くない。怖くないよ」
「……怖い?」
 優輝は純吾の言葉に首を傾げた。
「そんなことない。……離せって」
 純吾から離れるべく、彼の身体を押そうとした手が震えていた。気づかないのがおかしいぐらいにみっともなく。
 優輝は自分の手のひらを不思議そうにまじまじと見つめ、ようやく自分の気持ちを自覚し始めた。俺は純吾の言うとおり、怖がっていたんだ。
 優輝は純吾の身体を押していた手を降ろす。自覚してしまうと、大きな感情の波が押し寄せ、不安が増大した。
「……選ばなきゃいけないのはわかってる」
 来襲しつづけるセプテントリオンを退け続け、やがて訪れる終末の時。世界が終わる前に人の意志を束ねて救う為、セプテントリオンを作り出したポラリスに会わなければならない。
 優輝は悪魔使いのリーダーとして、人々の行く先を決める決断を迫られていた。
 実力主義を唱える大和。
 平等を目指すロナウド。
 二人もまた、優輝に来てくれるよう誘いをかけている。
 しかし優輝はどうするべきかまだ決めあぐねていた。
 ――だって俺は。
 開いていた手のひらをぎゅっと握りしめる。震えている情けなさを隠すように。
「だけど俺は、一週間前まで普通に高校生やってたんだ。それがいきなり世界の命運を決める選択だなんて……荷が重すぎるだろ」
「優輝にはジュンゴがいるよ」
 純吾が優輝の背中を柔らかく擦った。
「忘れないで。何があっても、ジュンゴは優輝の味方。だから大丈夫」
「本当に大丈夫だって根拠……ないだろ」
「でも護るのは本当だよ? ジュンゴ、優輝護るよ、……絶対に」
 たどたどしくも、純吾は躊躇いなく誓いを口にした。そして頭の天辺に温かい感触が触れる。ほんの僅かな時間だったのに、不思議と優輝の中で不安は薄れていく。
 握りしめた力が弱まり、指が解れていった。

キスを落とす25箇所 (01:頭の頂点にそっと)

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