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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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P4Gの1月ネタバレなので隠してあります。
つづきはこちらからどうぞ。




 慣れない看病で疲れたらしく、隣でクマが船をこいでいる。放っておくとそのまま倒れて、頭を床にぶつけそうだ。
 陽介は用意されていた布団を日向の部屋に敷き、運んだクマをそこに寝かせた。のんきに寝息を立てているクマに、おつかれさん、と心の中で呟き毛布を掛ける。
 最初クマが堂島家に泊まると言い出したとき、どうやったら迷惑かけずに大人しく連れ戻せられるかと頭を抱えていた。しかし今となってはクマがいてくれて良かったと都合のいいことを考える。
 足音を殺し、階段を降りた陽介は居間に足を向けた。炬燵が覆い被さるように敷かれた布団に、日向が眠っている。顔が赤いのは熱が高い証拠だ。クマが作った氷枕も、触ってみるとすっかり中が溶けてしまっている。
 新しく氷を入れなおし、日向の頭にそっと置いた。心なしか、苦しそうな呼吸が少し楽に聞こえる。
 明日、タクシーを呼んで病院に連れて行かないとな。バイトも親父に頼んで誰かとシフトを変えてもらおう。寝ている日向を傍で座って見守り、明日の算段を立てる。

 日向が倒れたと聞いたとき、陽介は心臓が止まるかと思った。急いで駆け付ければ、泣きそうなクマに居間に敷かれた布団でうなされている日向の姿。もしクマがいなかったら、しばらくの間誰にも気づかれなかっただろう。そう考えるとぞっとする。
「橿宮……ったく、具合悪いなら悪いって言えよ……」
 小さな声で文句を言う。昼間遊びに来たときは、体調の悪さをおくびにも出さなかったから。そして同時に、橿宮らしい、と陽介は思う。昼間倒れてしまったら、これから入院する菜々子や堂島に余計な心配をかけてしまう。だから、無意識に抑え込んだ結果が今じゃないんだろうかと。
「……ん」
 日向が寝返りを打った。額に貼られた冷却材がはがれかけている。落ちないように伸ばした手で触れ、生温くなっていた冷却材に眉を寄せた。
 これ、もう効果ねえだろ。はがした冷却材を手に陽介は腰を上げた。役目を終えた冷却材をごみ箱に捨て、冷蔵庫を開ける。中にはクマからの連絡を受け慌てて用意したスポーツ飲料や、りんごなどの果物が出番の時を待っていた。
 陽介は外箱ごと入れて冷やしていた冷却材を一枚取り出す。元の場所へ座り直した陽介は、保冷材に巻き込まれないように、日向の前髪を上げた。
「……ん」
 小さな呻きに、ヤバい、と陽介は肝を冷やした。だが日向は起きる様子もなく、こんこんと眠り続けている。
「はやく……よくなってくれよ」
 冬が過ぎたら、今度は日向が帰ってしまう春になる。
 事件が終わって、ようやく平和そのものの稲羽で日向と過ごせるようになった。ずっと大変だったから、短い間でも楽しい思い出を日向とたくさん作りたい。
「お前がいなきゃ、思い出作りも意味ないんだからな」
 陽介は冷却材のフィルムをはがす。むき出しになった日向の額にはりかけ、いつもは前髪に隠れていたそこを見つめた。両手で持っていた冷却材を脇に置き、身を日向の方へ乗り出す。
 眠り続ける日向の両脇に手を置き「……おつかれさん」と頭を屈めた。
 事件解決のため奔走してきたリーダーを労るように、陽介はそっと額に唇を落とす。
 このままこいつの熱を吸い取ってやれればよかったのに、と唇から感じる熱さに、胸が苦しくなった。


キスを落とす25箇所(02:普段は前髪に隠されたそこに)
 

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