小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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小さな物音が聞こえ、大地は目を覚ました。
「……んあ?」
垂れかけたよだれを手で拭いながら、こたつ板に突っ伏していた身体を起こした。どうやらこたつの暖かさに陥落してしまったようだ。
恐るべしこたつの威力。見たいテレビ番組あったのに。あっけなく眠気に屈してしまった己を嘆きつつ、大地はそれでもそこから出ようとしない。いやだって、出たら寒いじゃん。もう番組終わっちゃったみたいだし、このままこたつにあたり続けちゃる。
テレビの画面に映ったニュースをぼんやり眺めながら、こたつに手を入れた。心地よい暖かさに身体の力が緩む。あとはみかんがあったら、最強なのになぁ。
「……はい」
こたつに顎を立てる大地の目の前に、みかんが山盛りになったカゴが置かれた。視線をあげると、純吾が「食べて」とすすめる。
「うっわ、ナイスタイミングじゃん! サンキュー」
大地は喜びさっそくみかんをひとつ手に取った。皮をむき、さっそく一房口に入れる。甘酸っぱさに大地はしみじみと幸せをかみしめる。やっぱりこたつにみかんは最強だよな。
「ダイチ、幸せそう」
「そっりゃこたつにみかんだぜ? これで幸せじゃなきゃなんなのよ」
「うん。こたつにみかんは強い。ジュンゴも好き」
純吾は口元をわずかに上げて、頷く。そして大地の後ろを通り、そのはす向かいへ膝をついた。そして持っていたブランケットを広げる。
「ジュンゴ?」
「……静かに」
純吾が小声で大地をたしなめる。
大地はひょいとこたつから身を乗り出した。そこにはすっかり寝入ってしまった優輝がいた。テレビの音にも、大地と純吾の話声にも、全く起きる反応を示さない。
優輝の上半身はこたつから出ている。このままでは冷えてしまうだろう。純吾は優輝の身体が冷えないよう、ブランケットをかけた。
続いて、近くの座布団を引き寄せ二つに折る。細心の注意を払って優輝の頭を持ち上げ、その下に折った座布団を入れた。そして持ち上げた時同様、そっと頭を下す。
「ん…、んん……」
枕代わりの座布団の感触が落ち着かないらしい。優輝が幾度か寝返りを打った。やがて、自分なりに落ち着ける場所を見つけ、再び眠りを深くする。
「………………」
無言で純吾は優輝の身体からずれたブランケットをかけなおす。肩まできっちり隠れるよう位置を調整した。
「……うん。これで大丈夫。優輝、寒くない」
ようやく満足したのか、純吾は眠り続けている優輝の頭を優しく撫でた。
一連の様子を横からずっと見ていた大地は、いたせりつくせりだよな、と思った。
せっせと優輝に尽くす純吾の顔は見れなかった。だけど優輝の寝顔見て笑ってるんだろうな、と大地は容易に想像がついた。
何だか砂吐けそう。大地はみかんをもう一房くちに放り込み、酸っぱい味で胸焼けしそうな気持ちを誤魔化した。
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