小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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うちの生徒会もまだまだだわ。
巴は目の前の光景を、腰に手を当てて見下ろし溜息を吐いた。重く不満を滲ませるそれに、後ろでそわそわとしている生徒会役員である男子生徒が小さく息を飲む。
年末に引き継ぎを済ませ、生徒会長を引退した巴だが、何故か年が明けて三学期が始まってからも、こうして助けをも止められてしまう。これぐらいのこと、自分たちで対処しなさい、と咎めても「俺たちには出来ません」と言い張られていまい、いつもこちらが折れる羽目になってしまう。
「仲がいいね」
巴の横で同じ光景を見ている弥紀が小さく微笑んだ。
「弥紀……、笑い事じゃないのよ」
巴は再び溜息を吐いた。加えて頭痛までしてくる。午後からの授業で小テストがあるのに、これでは実力が奮えないではないか。
しかし弥紀はのんびりした口調で「でも、とっても気持ちよさそうだよ」と言った。
「何だか、子犬が身を寄せあって寝ているみたい」
「……本当にそうだったらいいんだけど」
巴は目の前でのんきに寝ている男二人を見た。
七代と燈治が、複数に見られているとも知らず、ぐっすり寝ている。ぴったりと身体をくっつけあい、燈治の腕を七代が枕代わりにして。
二人ともとても幸せそうに寝息を立てている。
これを発見したのは後ろで右往左往している生徒会役員だった。起こそうにも、相手は学園で注目の的になっている男二人。加えて燈治は七代の邪魔をする存在は誰であろうが、睨みつけて威嚇する。凶暴な獣のような目に射竦められてしまうだろう恐怖に腰が引け、こうして巴に連絡してしまった。
「全く……あたしはもう生徒会引退したのに……、この馬鹿二人のせいで」
忌々しく二人を見下ろす巴に「でも頼ってもらえるのって、信頼されている証拠なんじゃないかな。巴はすごく立派に生徒会長を務めあげたんだから」と弥紀が言った。
「もうすぐ卒業だし、もうちょっとしっかりしてほしいわね。……でも、コイツ等相手じゃ仕方ない、か」
七代も燈治も一筋縄じゃ行かない人物だ。自分でさえ時たま言いくるめられるのに、二人が寝ているだけの状態でおろおろするようでは、まず戦う前から負けてしまうだろう。
巴は制服のポケットから紐のついた呼び子を取り出した。
「弥紀。……そこのアンタも耳を塞いでなさい」
指示を出し、耳を塞ぐ弥紀たちを確認した巴は、大きく息を吸い、呼び子を口にくわえる。そして廊下の端までけたたましく鳴り響く笛の音に、寝ていた二人の驚く声が重なった。
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