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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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 燈治が教室を出ると同時に「あの……穂坂」と七代が声を潜め、隣の席から少し身を乗り出した。まるで他に聞かれたくないような姿に、終わった授業の教科書をしまっていた弥紀は小首を傾げる。
「どうしたの?」
「え、えっと……ちょっと聞きたいことがありまして……」
「うん、いいよ」
 弥紀はにっこり笑ってうなずき、身体ごと七代の方を向いた。彼の役に立てるのは弥紀にとってとても嬉しいことだ。
 快諾する弥紀に、七代の顔つきが安堵したものへと変わる。そして七代もまた弥紀の方を向いて座り直し、膝の上の手をぎゅっと握った。
「ええと……、あの、ですね」
「うん」
「穂坂は……よく会長と遊んだりとかも、するんですよね」
「うん。お買い物に行ったり、巴の家に遊びに行ったりもしてるよ」
 唯一無二の親友である巴とは、休日でも一緒に行動している時が多い。巴と一緒だと、何もかもが楽しく、とても心が満たされている気持ちになれる。
「そうなんですか……。それで、どんな風に約束を取り付けてたりとかしてるんです?」
「えっ、うーん、どうなんだろう。巴と話してたら自然とどこかに行こうって話になるから、約束を取り付ける、とかそういうのはないかな」
「そ、そうなんですか……」
 七代は口元に手をやり、難しい顔をして考え込んでしまった。眉間に寄ってしまった皺を見つけ、弥紀はどうしたんだろう、と七代を見つめた。何かわたし、変なことを言っちゃったかな。
「えっと、それじゃあですね」と七代が思い切ったように顔を上げ、口火を切った。
「何か自然な誘いかたってありますかね。穂坂と会長みたいな感じになれるような」
「……もしかして、千馗。壇君を何かに誘いたいの?」
 ふと思いついた推測を口にした弥紀に「うっ」と七代が身体を後ろに引いた。あからさまな反応に「やっぱりそうなんだね」と弥紀は確信する。
 自分の考えを看破され、肩を落とした七代は「そんな、大したことじゃないんですよ……」と呟いた。
「何かおもしろいことがあるわけでもないですし、ただ単におれが休みの時も一緒にいたいなって思うだけで。でもそれじゃあ、わがままにつきあわせて申し訳ないですし……」
「だから、いい誘いかたがないかってことなんだね」
「……はい」
 観念したように頷く七代に、弥紀は「大丈夫だよ」と笑って励ました。
「え?」
 きょとんとする七代に「何の用事がなくたって、誰かに会いたいって言うの、わたしにもすごく分かるかな」と弥紀は言った。それに用事がなきゃ会えないだなんてことはなだろう。
「壇君だって、千馗と一緒に過ごしたいって思ってるよ。だから何も考えないで一緒にいたいって言えば大丈夫!」
「そ、そうですかね……?」
「うん!」
 弥紀は自信を持って答えた。燈治が七代を特別に思っているのは、こちらから見ても明白だ。だから七代に誘われたりしたら、何よりも彼といることを優先するだろう。
「じゃ、じゃあちょっと誘ってこようかな……」
 弥紀に背中を押されて勇気が出たらしい。七代が席を立った。
 にっこり笑い「行ってらっしゃい」と弥紀は手を振って送り出す。
「頑張ってね」
「はい!」
 意気込み急ぎ足で七代は教室を出る。その時にちらりと見えた横顔は、とても緊張していた。
 かわいい、と思いながら弥紀は次の授業の準備を始める。きっと次に千馗が戻ってきた時の顔は、嬉しさに輝く笑顔だろうな、と確信しながら。


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