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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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「今日は俺が先に行く」
 水面にいくつもの船が浮かぶ場所である壇ノ浦の間。さっそく向こう岸へ船を飛び移ろうとした七代を、前に出た燈治が腕を出して制した。
 とつぜん思ってもないことを言われた七代は「ええっ?」と目を丸くする。
「駄目ですって。隠人が突然出てきたらどうするんですか」
 静寂を保っていても、洞ではいつどこで何が出てくるか分からない怖さがある。例え燈治が強い戦闘能力を持っていても、先に行かせたくない。
 しかし燈治は「いいから」と強情に言い張る。そして七代の返事も待たず、さっさと最初の船へと飛び乗ってしまった。
「何であんなにムキになるんだか……言い出したら聞かないんだから」
 呆れる七代の隣で成り行きを見ていた弥紀が「ふふっ」と小さく笑う。
「穂坂?」
「あ、ごめんね。笑ったりして」
 弥紀は謝りながら「でも壇君、千馗のことをとても心配しているんだよ」と燈治の弁護をした。
「前に千馗、ここでいなくなったことがあったから。壇君はまた同じことが起きないように注意してるんだと思うんだ」
「あ……」
「千馗がいなくなって一番心配していたの壇君だったし……。戻ってきて一番喜んでたのも壇君だったよ」
「そ、そうなんです、か……」
 仄かに頬を赤らめる七代に「うん」と弥紀は満面の笑みで頷いた。
 彼女は滅多なことで嘘をつかない。自分が壇ノ浦の間で生まれた念に閉じこめられたときのことを、壇は決して教えてくれなかったから。だから弥紀の言っていることを聞いた限りでは、燈治はいなくなった自分をとても案じてくれていたらしい。
 思いがけないところから知りたかったことを聞かされ、嬉しさ半分恥ずかしさ半分で壇がとても自分を心配してくれた事実を噛みしめる。
「優しいよね、壇君」
「はい、……そうですね」
 おれにはもったいないぐらいかも。そう思う七代に、船を渡り歩いていた燈治が振り向いて「早く来いよ!」と大きく手を振った。


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