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小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
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 ノックをしても返事がなかったので、燈治は七代の部屋に入った。今日は封札師の仕事も大学もないから家でのんびりしていると言っていたのに。
 燈治の疑問はすぐに解決した。先日買ったばかりの画集を開いたまま、七代は眠りこけていたからだ。こちらのノックに気づかない訳だ。
「……ったく、しょうがねえなあ」
 小さく唇をたわめ、燈治は足音を忍ばせ背を丸めて眠っている七代の傍に座った。余程疲れていたのか、七代は規則正しく寝息を立て、深い眠りについている。
 さてどうするか、と燈治は考える。七代を探していたのは暇ならどこかで外食でもと誘おうとしていただけなので、さしたる問題ではない。日頃封札師と大学生の二足の草鞋をしている七代の眠りを邪魔する気など、燈治には毛頭無かった。だが固いフローリングの床で寝ると、身体を痛めてしまう。
 彼の使う布団は燈治の部屋にある。そこまで横抱きで運んでしまってもいいが、起こしてしまう可能性を考えると少し躊躇した。
 とりあえず開き癖がつかないよう、七代が読んでいた画集を閉じて卓に置いた。ぱたん、と小さな音に反応して七代の睫が震えて持ち上がる。
「……んん?」
「お、悪い。起こしちまったか」
 肘を突いて上体を起こし、七代は眠い目を擦って謝る燈治を見上げた。まだ意識がはっきり覚醒してないらしくぼんやりしている。
「でも寝るんだったらちゃんと布団で寝ろよ。風邪を引いてもしら――」
 七代が燈治の腕を掴んだ。とろんと微睡んだ目を細め、ぐいぐい引っ張る。加減ない力に「お、おい」と燈治は七代の肩を押し返すが、一向に手は離れない。
「千馗」と困る燈治に七代は「とうじさんもいっしょにねよ?」と小首を傾げてねだられた。舌足らずの甘えた声に燈治は返す言葉もなくなる。無意識状態でやっているから、質が悪い。
「ねー、とーじさぁん」
 戸惑う燈治に七代はなおも言った。これは従うまで離してくれそうにない。頭を一つ掻き、やれやれと嘆息する。
「ちょっとだけだぞ?」
 前置きし、燈治は七代と向かい合って横になった。七代は嬉しそうに燈治の胸にすり寄る。そして逞しい腕を枕にして、再び瞼を閉じた。
「ったく……最初からそのつもりだったな」
 燈治は苦笑した。あっと言う間に寝てしまった七代の髪の毛をもう片方の手で撫で、そのまま背中へ回す。
 まあ、悪い気はしねえけどな。呟き、鼻先を七代の頭に寄せた燈治も目を閉じた。
 七代の体温は心地よく、すぐ眠りに引き込まれる。
 二人分の寝息が混じりあって、室内の空気に溶けて消えていった。

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