忍者ブログ
小話色々。只今つり球アキハルを多く投下中です、その他デビサバ2ジュンゴ主、ものはら壇主、ぺよん花主などなど
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


 コンビニエンスストアから出た外は、思っていたより寒かった。いくら鍛えていても、夜の空気は冷たく身に堪える。身体を抱いて「寒っ」と声に出した燈治に、駐車場で待っていた七代が振り向いた。
「あ、買い物終わりました?」
「…………千馗」
 近寄ってくる七代の姿に、燈治は呆れざるを得なった。薄手のカッターシャツにベスト。それ以外には上に何も着ておらず、風邪をひいてもおかしくない。
「お前よ、もうちょっと上に何か着ろって」
「大丈夫ですって! これでも病気はしたことないんですよ。いつだって、健康そのものです!」
 七代は両手をぐっと握りしめた。確かに寒がっていないし、やせ我慢している風でもない。
 しかし。
「見ているこっちは寒いんだよ……」
 学ランの前を開けている壇でさえ、冷えた空気に最近はマフラーを巻いている。街でも道行く人は何かしら防寒具を着けていた。しかしその中で一人寒さを凌ぐものもなく、薄着の七代を見ているとこっちが寒くなってくる。
「せめて制服ぐらいちゃんと着ろって」
「ええ~、制服着ると暑いんですもん。今がちょうどいいぐらいなんですから」
「……お前な」
 文句を言う七代に、燈治はげんなりした。薄着極まる格好で尚、暑いと発言する状態が理解に苦しむ。
「ああー、その顔。信じてませんね」
 燈治の表情から的確に考えていることを読み当てた七代が「じゃあ証拠を見せてあげましょう」と突然燈治の手を取る。
「な……?」
「えいっ」
 七代がカッターの端を持ち上げ、燈治の手をそこから中へと突っ込ませた。手のひらが七代の腹部に触れ、燈治は大いに慌てる。
「おいっ、場所を考えろって!」
 ここはコンビニの駐車場だ。すぐ横ではガラス越しに店員や客がいる。あっちから見たら、燈治が外で堂々と七代の服に手を入れている変態だと疑われてしまうだろう。あらぬ誤解を受けたくない一心で、手を引き抜こうと腕に力を入れる。
 しかし壇ほどではないが、七代も腕力はそれなりにある。ぐっと手を掴む力を強め「ほらっ、冷たくないでしょう。寧ろ暖かいでしょう、おれのナカ」と燈治に聞いた。
「だから、そう言う誤解を受けるようなことを――」
「だって壇が信じてくれないのがいけないじゃないですか」
「わかった、わかったよ! 信じるから! 早く手を離せっ!」
 一息でまくし立て、燈治はやっとの思いで七代の服に突っ込んでいた手を引き抜いた。素早く辺りを見回し、こちらに注目する視線がないことに安堵する。
「……千馗、お前なぁ」
「信用しない壇が悪いんですってば」
 睨む燈治に七代は悪びれもしない。軽やかに歩きだし「ほら、早く帰りましょう!」と燈治を振り返った。
「……ったくよ」
 燈治は服の中に突っ込まれた手のひらをじっと見つめた。正直気が急いていて、感触すら分からなかった。人通りがない場所なら少しは状況が変わっていたかもしれないことを七代は理解しているのか。
「……してねえよな」
 はあ、とついたため息が白く濁って消えた。
「だーんー!」
 無邪気に七代が手を大きく振っている。子供っぽい相棒に燈治は苦笑いをして、彼の後を追うように歩きだした。

拍手[3回]

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
E-Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
09 2017/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
リンク
プロフィール
HN:
千早
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
P R

Template by Emile*Emilie
忍者ブログ [PR]